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【……切なくて】【こなゆき】エントリー作品−
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今年もまたやって来る。雪の降る白い季節。
見上げると、白い雪の結晶が舞い降りてきた。
「積もったなぁー」
美雪は白い雪に足跡を付けて歩いた。空はもう晴れ渡り、青い空が広がっている。
「ハー」
息を吐くと、白く染まった。
彼と出会って、三度目の冬。今年は一緒に過ごせるのかすら分からない。
知ってる。彼の心がもう此処にはないって。だけど怖くて問いただせない。
だってきっと戻らない。どこかで諦めがついてる。
「……っ」
自然と涙が溢れてくる。
『ずっと一緒にいようね』って約束したのに。あの頃、あの人は優しくそう言ってくれたのに。
変わってしまった彼の心。変われないのは自分だけ。
次々にこみ上げてくる涙が堪えきれずに零れた。
滲む視界に広がる雪道。かつて彼と二人で歩いた思い出の道。
あの頃はこの道が永遠に続く二人の未来のように感じていた。
「…………っ」
いつも一緒だったのに。傍にいるのが、彼の隣に居るのが当たり前だって思ってたのに。
私の心はまだ此処にあるのに……!
ポトンと涙が雪に落ちた。雫は周りの雪を少しだけ溶かした。
今も色褪せることなくある彼への想いは、白い雪のようにキラキラと輝き続けている。 今はその思いが自分を苦しませる。
美雪はその場に崩れた。冷たい雪が、火照った体を冷やしてくれる。
本当は、信じたい。彼が戻ってきてくれると。都合のいい女って思われてもいい。彼を愛しているから。いつかまた笑って彼の隣を歩きたい。
俯いている美雪の目の前に雪の結晶が舞い降りた。
「馬鹿……だよね」
だってもう戻らないって知ってる。それでもまだ彼を愛してる。
涙で滲む目で見た空は、あまりにも鮮やかな青で、白い雪とのコントラストが本当に綺麗だった。
「分かってるよ。分かってる」
誰に言うでもなく呟く。
舞い散る雪が奏でるのは、別れの序曲。
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