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今年もやって来るサクラ色の季節。
去年までは大切な彼と一緒に歩いてた、川沿いの桜並木道。今は一人きりで歩いてる。 いつからすれ違い始めたのだろう? ずっと二人で生きてゆこうと決めていたのに。 彼とは大学の同級生で、一緒に居てとても安心できる存在だった。 社会人になってからは、お互いの仕事が忙しくなり、会う時間もどんどん少なくなった。それでも、離れていても、大丈夫だと思ってた。 だけど時経つうちに、心が離れていくのが分かった。どうしようもできなかった。ただ、自分の幼さに愕然とした。 こうして目を閉じると、思い出すあの頃の思い出。あの日もこんな風に桜が舞っていて、一面がサクラ色に染まっていた。浮かぶのは、彼の優しい笑顔。 離れて気づいたのは、自分の幼さと愚かさだった。 彼に頼りすぎていた。もっと自分でできることも何かあったはずなのに。 彼と別れてから、ただひたすら夢に向かってがんばろうと心に決めた。だってもう支えてくれる人はいないんだから。 どれだけ厳しいことを言われても、辛くて苦しくてどうしようもなくなっても、ただ這い上がって戦い続けた。 苦しくなると、あの頃の自分を思い出す。今はあの頃よりも成長できているんだろうか? どうすれば成長できるだろうか? そればかり考えてる。 幼かったあの頃の自分を支えてくれたのは、いつも彼だった。今頃になって彼の優しさが身に染みる。 顔を上げると、風が吹き抜けた。その瞬間、サァーっと花びらが舞った。 あの頃と同じ、サクラ色の景色。 「忘れないよ。ずっと・・・・・・ずっと・・・・・・」 あの頃の彼との思い出も、幼すぎた自分も、あの日のことを、ずっと忘れない。 サクラ色に染められた舗道に一歩踏み出した。 inspired:サクラ色/
アンジェラ・アキ
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