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星降る夜は、君と二人であの丘に登ろう。
「今日はとびきり星がよく見えるんだ」 彼はそう言って、まるで子供のようにはしゃぎながら、丘を駆け上がった。あたしも一緒になって駆け上がる。 星が好きなあたしたちは、よく二人で星を見る。 今日も二人で丘に登り、一番高い場所で二人並んで仰向けに寝転がった。 目の前には満天の星空が所狭しと広がっている。ゆっくりと流れる時間。ふと彼の横顔を見ると、楽しそうに目を輝かせていた。そんな彼を見てるだけで、すごく幸せに感じる。 何億光年も先から旅をしてきた星の光が瞬く度、自分がどれだけ小さくて、自分がどれだけ幸せかを再確認する。 「あ、流れ星」 彼が右手の人差し指でさした方向に、キラリと星が流れた。それを合図に数個が流れた。 (ずっと一緒にいられますように) あたしはそう願わずにはいられなかった。それはあたしのワガママかもしれないけど、あたしの一番の幸せはこうして彼と一緒にいることなんだ。 本当に今日は星がよく見える。手を伸ばせば届くような距離にある錯覚を覚えた。思わず手を伸ばす。だけど、届くはずなんてない。 ふと隣を見ると、彼も同じことをしてた。彼もあたしが同じことをしていることに気づいて、二人で笑った。 「届くわけ、ないよな」 「そうだよね」 似た者同士とはよく言ったものだ。 届かない なーんて。恥ずかしくて言えないけどね。 「あのさ」 不意に彼が口を開く。 「ん?」 彼は星を見上げたままだ。 「愛してるよ」 「・・・・・・え?」 突然の彼の言動に、戸惑う。 「な、何? 急に。いつもは恥ずかしがって言わないくせに」 そう言うと、少しふてくされたように彼が言い訳をした。 「言いたくなったんだよ」 「変なの」 突然彼がガバッと起き上がった。 「どしたの?」 「本当は、ずっと前から言おうと思ってたことがあるんだ」 「え?」 彼の真剣な声に、あたしも起き上がる。彼はどこからか、小さな箱を取り出した。 「あのさ、俺とずっと一緒にいて欲しい」 彼はそう言いながら、その小さな箱をあたしに渡した。 「それって・・・・・・」 「嫌か?」 「嫌なワケないじゃん」 そう答えると、彼は嬉しそうに少し笑った。 「あたしなんかでいいの?」 「お前だからいいんだよ」 彼の答えが、この上なく嬉しい。 星降る夜。月に照らされキスをする。 君がいつもよりカッコよく見えたのは、月明かりと星のせい? なんて言ったら、君はきっとふてくされるよね。 I want to be in your side forever. あたしの願いはただ一つ。 ずっと、ずっと一緒にいられますように。 |