font-size       
プロローグ
 子供の頃、母親からおやつにもらった飴玉がとても綺麗で、誰かに見せたくて、ぎゅっと握り締めて外に飛び出した。

 走って走って、やっと見つけた友達に手の中に握り締めた飴玉を見せたら、溶けて形が分からなくなってしまっていた。

 友達にはからかわれたことよりも、あの綺麗な形が自分のせいで壊れてしまったことが、何よりもショックだった。

 その時初めて、綺麗なものは、とても壊れやすいんだと知った。

 それから綺麗なものを避けるようになってしまった。

 自分が傍に居ては、きっとすぐに壊れてしまうから・・・・・・。